去年の8月,ちょうどSMAPが解散表明した頃。農学部の友達から連絡がありまして,曰く
「てっぽどーん!牧場で使う電気ビリビリ柵があるやん?アレ壊れて使えへんねん,今必要なんやけど治せそう??」…とのこと。
怖えよ。
いや何万ボルトの電圧がかかってるか知りませんが,分解中に変なコンデンサ触ってバチィなんてなった日にはもうね。使い捨てカメラをバラすのとはわけが違うでしょこれ。
…とか口では言いつつ,実は僕も中身が非常に気になるのが本当のところ。特に昇圧回路。嫌よ嫌よも好きのうちと言うことで二つ返事でOKしてとりあえずバラしてみることにしました。
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おやくそく
いつものことながら自己責任でお願いします。
というかぶっちゃけ真似しないでください。今回は電気ビリビリ柵の高電圧発生部。言うなれば MGS3 でちょくちょく出てくる高電圧有刺鉄線みたいなもんです。もちろんそんな死ぬほどでもないだろうけど多分。
どうしてもって言うなら止めはしませんが,それが原因で家が燃えたり病院送りになって時に「丼's tech blog ってブログにやり方書いてたので〜」とか口が裂けても言わないでください。後生ですから。
故障の原因:サイリスタが飛んでた
さて,いきなりですが写真は修理後のAN90です。スマホが壊れてしまった関係で残念ながら写真はこれだけしかありません。
もとは○で囲った部分に BT148-500R(BT148-500R,127 WeEn Semiconductors | ディスクリート半導体製品 | DigiKey)が有ったのですが,テスタやら何やらで調べてみたところ,どうもコイツが壊れれたっぽかったので,ちょうど手元にあった TYN625(大容量サイリスタ 600V25A TYN625: 半導体 秋月電子通商-電子部品・ネット通販) に交換しました。
定格も満たしているので大丈夫でしょうきっと。
こう,何なんというか,そういうデータが有るかは知りませんが,高電圧とか大電流扱う回路って真っ先にIGBTやトライアック,サイリスタ,MOS,トランジスタといった石系のパーツがお釈迦になるじゃないですか。…なりません??
そんなノリでコレもサイリスタが逝ってるかな??と調べてみたらビンゴでしたというラッキー案件。やったー!!
という訳で,今のところまた故障したりとか逆に牛さんが感電死したりとかいう不具合はなく,ちゃんと稼働してくれてるみたいです。
今回修理するAN90(北原電牧)について
これです。
AN90 Battery Energiser – Power the Remotest Electric Fencing
農業用ハウス・獣害防止柵(電気柵)の施工・販売なら未来のアグリ株式会社
イギリスの Rappa 社 が出してる電牧を,日本の北原電牧(現,未来のアグリ株式会社)が卸売してるみたいですね。
P R O D U C T I N F O R M A T I O N S H E E T
Stored energy | 0.16 [J] |
Maximum output energy | 0.12 [J] |
Typical output performance | Voltage | Energy |
Open Circuit | 8.0 [kV] | |
Rated load (2000 Ω) | 4.5 [kV] | 0.12 [J] |
Standard Load (500 Ω) | 2.0 [kV] | 0.09 [J] |
おうわ,Open Circuit で 8.0 [kV] とな。こわ…
交流電流が人体を通過した時の反応を示している。 50mAの電流が人体に流れた場合、通電時間が3秒以内であれば、心臓から血液を送り出せなくなる心室細動の恐れはないが、50mAを超えると心室細動を起こして死に至ることを示している。50mAなら1秒まで、100mAなら0.5秒以内に電流を遮断すれば、心室細動や死亡する恐れはない。このため、50mA秒が安全限界に定められている。
...(中略)...
人体の皮膚が乾燥している時の抵抗値は約4,000Ω、皮膚が湿っている時は約2,000Ω程度で
人の抵抗を 4[kΩ] と見積もっても,うっかり両端触っちゃったら十分死ねます。電牧のパルスが交流電流なのかどうかは知りませんが,単純計算で 2 [A] 流れてしまうことに…
と思ったのですが,Energy は 0.12 [J] とか 0.16[J] とかだし,そこらへんはちゃんと人体に電気が流れ過ぎないようにリミッタかなんか設定してくれてるのかな??設定してくれてることを祈りましょう。ともかく今回は感電しなかったので確かめようがなかったです。
みなさんももしバラす時はくれぐれも気をつけてください。